比較・長期滞在

マルタ 永住権 条件と費用 2026

· マルタJP編集部

「マルタ 永住権 条件」を調べている人の多くは、実は2つの別物を混同していることが多い。ひとつは、マルタに5年以上合法的に住み続けた人が申請できる「長期居住者(Long-Term Resident)」というふつうの在留資格。もうひとつは、多額の投資と引き換えに短期間で永住資格を得られる「マルタ永住権プログラム(MPRP)」という投資型の制度だ。この記事では、この2つのルートの違い、費用感、必要書類の考え方、家族の扱い、市民権との違い、そして維持要件までを、Identità(マルタの移民・身分証当局)とResidency Malta Agency(マルタ居住庁)の公式情報にもとづいて整理する。マルタでの長期滞在をほかの国と比較して検討したい場合はマルタ vs フィリピン留学比較の記事も参考になる。

クイックアンサー

マルタの永住権には2ルートある。(1) 通常ルート=5年以上の合法的な継続居住+生活基盤の要件を満たす「長期居住者」資格(申請料500ユーロ)。(2) 投資型のマルタ永住権プログラム(MPRP)=資産50万〜65万ユーロ以上、行政手数料6万ユーロ+政府拠出金3万7,000ユーロなどを条件に、比較的短期間で永住資格を得る制度。どちらも市民権とは別物で、金額・年数は変更されるため必ず公式サイトで確認すること。

「永住権」が指す2つの制度

日本語で「マルタ永住権」と検索すると、性質の異なる2つの制度がまとめて出てくる。ひとつはEU全体の枠組みにもとづく「長期居住者(Long-Term Resident)」資格で、マルタに一定年数合法的に住み続けた第三国民なら誰でも要件を満たせば申請できる、いわば地道な通常ルートだ。もうひとつはResidency Malta Agency(マルタ居住庁)が運営する「マルタ永住権プログラム(Malta Permanent Residence Programme、MPRP)」で、一定額の投資・拠出金と引き換えに永住資格を得る制度だ。同庁はこのほかNomad Residence Permit(リモートワーカー向け)やMalta Startup Residence Programmeなども運営しているが、これらは永住権そのものではない点に注意したい。

ルート 主な要件 費用の目安(出典・確認日) 期間
長期居住者(通常ルート) 5年以上の合法的継続居住、安定収入、自己の住居、統合要件 申請料500ユーロ(Identità、2026-09-21確認) 資格は永続、カードは5年ごと更新
MPRP(投資型) 資産50万ユーロ(うち金融資産15万ユーロ)または65万ユーロ(同7.5万ユーロ)、賃貸年14,000ユーロ以上または購入37.5万ユーロ以上の住居 行政手数料6万ユーロ+政府拠出金3.7万ユーロ+NGO寄付2,000ユーロ等(Residency Malta、2026-09-21確認) 審査後に付与、住居要件は5年維持

通常ルート — 合法的居住年数の要件

Identitàの公式ページには、長期居住者資格の要件として「have been legally and continuously residing in Malta for a period of five (5) years or more(マルタに5年以上、合法的かつ継続的に居住していること)」と明記されている。加えて、安定した収入があること、自分自身の住居を確保していること、そして関連法(Subsidiary Legislation 217.05)に定められた統合要件を満たしていることが条件になる。申請料は500ユーロで、パスポートなど渡航文書は申請時点で残存有効期間6か月以上が必要とされる。留学から入って就労し、その後にこの通常ルートを目指すという流れを考える場合、就労までの経路はマルタ就職の記事、就労ビザの詳しい手順はマルタ就労ビザ・シングルパーミットの記事で確認できる。

バレッタのシャット・ラスカリス沿岸、係留された小型船と港湾風景
写真: Frank Vincentz / Wikimedia Commons · CC BY-SA 3.0

投資型プログラム(MPRP)の位置づけと費用感

MPRPはResidency Malta Agencyの公式ページで「third country nationals who are non-EEA and non-Swiss(非EEA・非スイス国籍の第三国民)」を対象とすると説明されており、社会扶助に頼らない安定した資力を示す必要がある。資産要件は「minimum capital of either €500,000 (with €150,000 in financial assets) or €650,000 (with €75,000 in financial assets)(資産50万ユーロ〈うち金融資産15万ユーロ〉、または65万ユーロ〈同7万5,000ユーロ〉のいずれか)」とされる。費用面では、行政手数料6万ユーロ(返還不可)、政府拠出金3万7,000ユーロ、成人扶養家族1人につき7,500ユーロ、地元NGOへの寄付2,000ユーロ、居住カード発行料が1人あたり500ユーロ(5年有効)と、公式ページに個別に示されている。住居については、年間賃料14,000ユーロ以上の物件を賃借するか、37万5,000ユーロ以上の物件を購入し、いずれも最低5年間保持することが条件だ。これらの金額はいずれもResidency Malta Agencyの公式ページで本稿確認時点(2026年9月21日)に読み取れた数字であり、改定される可能性がある。申請はLicensed Agent(認可エージェント)を通じて行う必要がある点も公式に明記されている。取得後の毎月の暮らしにどれくらいかかるかはマルタの生活費の記事、賃貸相場の感覚はマルタの物価の記事で確認できる。

タシュビエックスの住宅建設現場、マルタの不動産開発の様子
写真: UrbanMalta / Wikimedia Commons · Public domain

申請に必要な書類の考え方

どちらのルートでも共通するのは、「資力を証明する書類」「住居を証明する書類」「有効な渡航文書」という3本柱だ。通常ルート(長期居住者資格)では、収入証明や賃貸契約・登記など居住の証明、統合要件を満たしたことを示す書類が中心になる。MPRPでは、資産50万〜65万ユーロを証明する銀行残高証明や資産証明、賃貸契約書または売買契約書、無犯罪証明、健康保険証明などが必要とされ、書類一式は認可エージェントを通じて提出する仕組みになっている。どちらのケースも、必要書類の詳細な一覧は申請時点でIdentitàまたはResidency Malta Agencyの公式ページ・様式集で確認するのが確実だ。

家族の扱い

MPRPの公式ページには「up to four generations in one application(1件の申請で最大4世代まで)」を含められると明記されている。祖父母・親・本人・子どもといった複数世代を一つの申請でカバーできる点は、他国の投資移住プログラムと比べても手厚い部類に入る。ただし成人の扶養家族には1人につき7,500ユーロの追加費用がかかる。通常ルート(長期居住者資格)の場合、家族はそれぞれが要件(5年居住など)を満たすか、別の在留資格(家族呼び寄せなど)を経由する必要があり、MPRPのような一括申請の仕組みはない。

永住権で「できること・できないこと」

長期居住者資格・MPRPのいずれも、マルタでの居住が認められ、シェンゲン圏内の短期渡航がしやすくなる点は共通する。ただし「永住権」は自動的に就労を保証するものではない点に注意したい。長期居住者資格を持つ第三国民の就労可否は在留資格の種類によって扱いが異なり、就労を前提とする場合は別途、雇用に関する手続きが必要になるケースがある。またMPRPは投資と引き換えの居住資格であり、参政権やEU域内でのフリーアクセス就労権を自動的に付与するものではない。できること・できないことの具体的な線引きは個々のケースで変わるため、必ず公式サイトまたは資格のある専門家に確認してほしい。

マルタのグランドハーバー(大港)、対岸に広がる要塞都市の眺め
写真: Diego Delso / Wikimedia Commons · CC BY-SA 4.0

市民権との違い

Residency Malta Agencyは公式ページで「The MPRP grants permanent residence in Malta and is distinct from the separate legislative provisions governing citizenship.(MPRPはマルタでの永住権を付与するものであり、市民権を規定する別の法律とは異なる)」と明言している。永住権(長期居住者資格もMPRPも同様)はあくまで「住み続ける権利」であって、マルタ国籍やEU市民権を意味しない。投票権、EUパスポートの取得、他のEU加盟国での完全な就労の自由といった市民権に付随する権利は、永住権だけでは得られない。マルタには別途、市民権に関する制度も存在するが、要件や審査基準はさらに厳格で、本記事の対象外になる。

維持要件(不在期間など)

長期居住者資格は取得して終わりではない。Identitàの公式ページによれば、マルタを「継続して6年間(absent from Malta for a continuous period of six (6) years)」離れると、EU域内に留まっていても資格を失うとされている。さらに「EU域外に12か月を超えて滞在した場合(outside the European Union for more than 12 consecutive months)」は自動的に資格を失うとも明記されている。季節労働者や短期ビザなど一時的な在留資格の期間は、そもそも5年の要件にカウントされない。カードの更新は有効期限の少なくとも1か月前を目安に申請し、承認されれば新たに5年間有効なカードが発行される。更新時に統合コースや語学試験を再度受ける必要はなく、マルタ・EUとのつながりが維持されていることの確認が求められる。

公式確認先

この記事は一般的な情報提供であり、法的・財務的な助言ではない。永住権・在留資格の制度は変更されるため、実際に申請を検討する段階では必ず公式機関と有資格の専門家に確認してほしい。長期居住者資格の詳細はIdentità、MPRPなど投資型プログラムの詳細はResidency Malta Agencyで確認できる。エマ(Emma)は永住権・投資・税務に関する助言は行っていない。

主な出典

最終確認: 2026-09-21

よくある質問

マルタの永住権の条件は?

通常ルートは5年以上の合法的な継続居住と安定収入・自己住居・統合要件。投資型のMPRPは資産50万〜65万ユーロと行政手数料・政府拠出金などの支払いが条件になる。

何年住めば取れますか?

通常ルート(長期居住者資格)は5年以上の合法的な継続居住が必要。季節労働者や短期ビザの期間はこの5年にカウントされない。MPRPは投資と引き換えのため居住年数の要件とは別の仕組みになる。

費用はいくらですか?

通常ルートの申請料は500ユーロ。MPRPは行政手数料6万ユーロ、政府拠出金3万7,000ユーロに加え、住居の賃貸・購入費用や扶養家族費用が別途かかる。金額は変更されるため公式サイトで確認すること。

家族も対象になりますか?

MPRPは1件の申請で最大4世代までを対象にできる。通常ルートでは家族それぞれが要件を満たすか、別の在留資格を経由する必要がある。

市民権とどう違いますか?

永住権はマルタに住み続ける権利であり、マルタ国籍やEU市民権とは別の制度。投票権やEUパスポートの取得など市民権に付随する権利は永住権だけでは得られない。

申請期間はどれくらいかかりますか?

公式ページには具体的な標準審査期間の数字は示されていない。ルートや個々の状況によって異なるため、申請前にIdentitàまたはResidency Malta Agencyに直接確認するのが確実だ。

日本国籍でも取れますか?

日本国籍はEEA・スイス国籍者ではないため、MPRPの対象国籍に含まれる。通常ルートの長期居住者資格も国籍を問わず要件を満たせば申請できる制度だ。

長期居住のリアルはエマに聞いてみよう

永住権や投資額の話は制度の話であって、暮らしの話ではない。スウィーイ(Swieqi)で3年ほどマルタに暮らしているエマ(Emma)なら、長く住み続けるとはどういうことか、その肌感覚を教えてくれる。エマは永住権の申請や投資・税務についての助言は行っていないが、「実際にどんな暮らしなのか」を聞く相手としてはうってつけだ。

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アイキャッチ写真: Mstyslav Chernov / Wikimedia Commons · CC BY-SA 3.0

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エマ(Emma)はブラジル生まれ・イタリア育ちの20代。スウィーイ(Swieqi)に住んで3年目、IT関係の仕事をしています。英語ゼロから始めて今は流暢、日本語も少しずつ勉強中。語学学校選び、安全なエリア、最初の1週間のコツ、カフェでお茶やグループでのお出かけ — インスタのDMで気軽に聞いてください。返信はだいたい数分以内。(ビザ相談・空港送迎・住まいの保証はしていません。)

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