「マルタ 移住 デメリット」を調べている人は、すでに移住に前向きで、あとは現実的な弱点を知って納得したいという段階にいることが多い。マルタ移住・就職ガイドでは需要業種や給与相場、居住権の費用感といった移住の「総論」を扱っているが、この記事はそこでは深掘りしていない、長期的に住み続ける場合のデメリットだけに絞って正直に整理する。住居費、医療アクセス、島の規模がもたらす限界、交通、夏の暑さ、教育、コミュニティの狭さという7つを、Eurostat(欧州統計局)の公表データと公式情報にもとづいて解説する。マルタと他国を比較したうえで検討したい場合はマルタ vs フィリピン留学比較の記事も参考になる。
マルタ移住の主なデメリットは、(1)住居費の高さ、(2)専門医療の選択肢の限界、(3)職域の狭さ、(4)慢性的な交通渋滞、(5)長く続く夏の暑さ、(6)子どもの教育の選択肢の少なさ、(7)言語・コミュニティの狭さの7つ。背景にはEurostatが2024年に確認したEU最高の人口密度(1平方kmあたり1,766人)がある。ただしどれも「対策の方向性」がある弱点であり、移住が向いていない理由にはならない人も多い。
移住のデメリット7つ一覧
| デメリット | 背景 | 対策の方向性 |
|---|---|---|
| 住居費が高い | EU最高の人口密度で需要が供給を上回りやすい | エリアと築年数を広げて探す、内見前に相場を把握する |
| 専門医療の選択肢が限られる | 島国で医療機関の絶対数が少ない | 加入する保険の対象範囲を事前に確認する |
| 職域が狭い | iGaming・IT・観光業に業種が偏る | 渡航前に自分の職種の求人が実際にあるか確認する |
| 交通渋滞が常態化 | 人口密度が高く道路網の拡張余地が少ない | 通勤圏を絞って住居を選ぶ、バス路線を事前に確認する |
| 夏が長く暑い | 地中海性の中でも欧州最高水準の年間平均気温 | エアコン付き物件を選ぶ、活動時間帯をずらす |
| 子どもの教育の選択肢が少ない | 国際校・特定言語対応校の数が限られる | 渡航前に候補校の空き状況を確認する |
| 言語・コミュニティが狭い | 日本語話者コミュニティの規模が小さい | オンラインコミュニティや現地の知人を早めに作る |
住居費と物件の質
Eurostatのデータでは、マルタで市場価格の家賃を払って住む借家世帯のうち、住居費が可処分所得の40%を超える「住居費負担過重率」は2025年12月時点で21.50%とされている。これは2018年12月の12.10%という低水準からの上昇であり、2009年12月の31.00%というピーク時ほどではないものの、負担感が軽くない水準だ。背景にあるのは、EU加盟国で最も人口密度が高い国だという構造的な事情——2024年時点で1平方キロメートルあたり1,766人(2003年の1,263人から増加)というEurostatの数字が、住居の需要と供給のバランスに直接影響している。対策としては、エリアや築年数の選択肢を広げること、内見前に複数の物件で相場感をつかんでおくことが現実的だ。具体的な家賃相場はマルタの生活費の記事で確認できる。

医療へのアクセス
マルタは公的医療制度を持つ国だが、島国であるため医療機関の絶対数には限りがある。高度専門医療の一部は、必要に応じて海外の医療機関と連携する体制がとられているとされ、日本のように選択肢の多い都市部の医療環境をそのまま期待すると差を感じる場面があるかもしれない。具体的な待ち時間についての公式統計は本稿確認時点で確認できておらず、根拠のない数字を示すことは避ける。実際にどの病院・薬局を使えるか、保険の入り方についてはマルタの病院・薬局ガイドにまとめているので、渡航前に必ず目を通しておいてほしい。
島の規模がもたらす限界
マルタは面積約316平方キロメートル、人口約56万人という小さな島国だ。この規模の小ささは、キャリアの選択肢、買い物の幅、物流のスピードといった複数の面に影響する。求人市場はiGaming・IT・ホスピタリティに偏りがちで、業種によっては「そもそも求人自体が存在しない」というケースも珍しくない。就職・転職の現実的な業種の幅はマルタ移住・就職ガイドで扱っている。ネット通販は使えるものの、島外からの配送は日本の都市部ほどのスピード感を期待できないことが多く、大型店舗の選択肢も限られる。日用品や食品の価格帯はマルタの物価の記事で項目別に確認できる。「小さな島に住む」ということの物理的な制約を、移住前にどれだけ具体的にイメージできるかが満足度を左右する。
交通と渋滞
前述のとおりマルタはEU加盟国で最も人口密度が高い国であり、限られた道路網に対して自動車の台数が多いことから、通勤時間帯を中心に慢性的な渋滞が発生しやすい。具体的な渋滞指数などの統計は本稿確認時点で確認していないため数値としては示さないが、人口密度の高さという構造要因からも、渋滞が起きやすい環境であることは説明できる。対策としては、通勤・通学の動線を踏まえて住むエリアを選ぶこと、バスなど公共交通機関のルートと所要時間を事前に確認しておくことが現実的だ。

夏の暑さと通年の生活
Wikipedia「Climate of Malta」によれば、最も暑い8月の日中最高気温は28〜34℃の範囲になるとされ、マルタは年間平均気温19.3℃で「ヨーロッパで最も温暖な国」とも言われる。首都バレッタは欧州の首都の中でも「最も温暖な冬」を持つとされ、裏を返せば夏の暑さが長く続くということでもある。エアコンの有無や断熱性能は物件によって差があるため、賃貸契約前に必ず確認しておきたい。活動時間帯を早朝・夕方にずらす、屋内で過ごす時間を増やすといった工夫で対応している人も多い。
教育と家族帯同
子どもを連れての移住を考える場合、国際校や特定の言語に対応した学校の選択肢がマルタでは限られる点は正直に伝えておきたい。学校数自体が少ないため、希望する教育方針やカリキュラムに合う学校が見つかっても、空き状況次第では入学のタイミングが制約されることもある。家族帯同での移住を具体的に検討している場合は、渡航のかなり前の段階から候補校に直接問い合わせて空き状況を確認しておくことをすすめる。
言語とコミュニティ
マルタの公用語はマルタ語と英語で、日本語話者のコミュニティ規模は大きくない。生活のベースは英語(場合によってはマルタ語)になるため、英語力が生活の質に直結しやすい。日本語だけで完結する生活は難しく、日本人同士のコミュニティも、他の人気移住先と比べると規模が小さい。孤立感を減らすには、渡航前からオンラインで情報交換できる相手を見つけておく、現地に着いてから積極的に人とのつながりを作る、といった能動的な姿勢が助けになる。
それでも移住が合う人
ここまでの7つのデメリットは、いずれも「対策の方向性」がある弱点であり、移住そのものを諦める理由には直結しない。ヨーロッパへのアクセスの良さ、地中海性気候、比較的治安の良さといったマルタの魅力とデメリットを天秤にかけたうえで、「渋滞や住居費の高さより、この環境で得られるものの方が大きい」と感じられるかどうかが分かれ目になる。住居費や職域の狭さに強い不安がある人、都市部の充実した医療・教育インフラを重視する人には、他の選択肢のほうが合っている可能性もある。
出典
- Trading Economics「Malta Housing Cost Overburden Rate」(Eurostatデータ)
- newsbook.com.mt(Eurostat人口データ引用)
- Wikipedia「Climate of Malta」
最終確認: 2026-09-21
よくある質問
マルタ移住のデメリットは?
住居費の高さ、専門医療の選択肢の限界、職域の狭さ、慢性的な交通渋滞、長く続く夏の暑さ、子どもの教育の選択肢の少なさ、言語・コミュニティの狭さの7つが主なデメリットとして挙げられる。
家賃は高いですか?
Eurostatの住居費負担過重率は2025年12月時点で21.50%と、負担感が軽くない水準にある。背景にはEU最高の人口密度がある。具体的な家賃相場はマルタの生活費の記事で確認できる。
医療は大丈夫ですか?
公的医療制度はあるが、島国のため医療機関の絶対数には限りがある。高度専門医療の選択肢は都市部ほど多くない可能性があるため、加入する保険の対象範囲を事前に確認しておきたい。
仕事は見つかりますか?
求人はiGaming・IT・ホスピタリティに偏りがちで、業種によっては求人自体が少ない。渡航前に自分の職種の求人が実際にあるか確認しておくことが重要だ。
子供の教育はどうですか?
国際校や特定言語対応校の選択肢はマルタでは限られる。学校数自体が少なく空き状況の制約もあるため、家族帯同の場合は早めに候補校へ直接問い合わせるべきだ。
夏は住みにくいですか?
8月の日中最高気温は28〜34℃とされ、年間平均気温19.3℃はヨーロッパで最も温暖とされる。エアコンの有無を賃貸契約前に確認し、活動時間帯を工夫する人が多い。
移住して後悔する人はいますか?
住居費や職域の狭さ、都市部の充実したインフラを重視する人にとっては物足りなさを感じる可能性がある。7つのデメリットを事前に理解し、自分の優先順位と照らし合わせて判断することをすすめる。
3年住んだ実感はエマに聞いてみよう
統計や制度の話だけでは、「実際に何が一番きついか」までは分からない。スウィーイ(Swieqi)で3年ほどマルタに暮らしているエマ(Emma)は、住居探しや夏の暑さ、島の規模の限界を日々のストーリーズで正直に発信している。エマはあくまで暮らしの実感を共有する立場で、住居・医療・教育に関する専門的な助言は行っていない点は理解しておいてほしい。気になることがあれば気軽にDMしてみるのがおすすめだ。
アイキャッチ写真: Flibust1er / Wikimedia Commons · CC BY 4.0



