マルタ 最低賃金で検索している人の多くは、ワーキングホリデーや長期滞在を考えるにあたって「最低賃金の仕事だけで実際に生活できるのか」を知りたいはずです。結論からいうと、マルタの法定最低賃金はEUの中でも低い水準にあり、月額でしか公式には示されていません。この記事では2026年9月20日時点でEurostatが公表している最新の数値をもとに、金額の基準日と、家賃・交通費との対比から見た生活のリアルを整理します。
マルタの法定最低賃金は月994ユーロで、これは2026年7月1日時点の基準としてEU統計局(Eurostat)が公表している数値です(1EUR=180.94円のECB参考レート換算で約17万9,900円、2026年9月18日基準)。この994ユーロという数字はEU加盟国を横並びで比較するための月額ベースの統一指標で、公式に時給や週給へ換算されたものではありません。マルタの最低賃金は過去10年の伸び率がEU内でも低いグループに入っており、物価の上昇スピードとの兼ね合いが生活実感を左右します。
法定最低賃金 — 数字と基準日
EU統計局(Eurostat)の「Minimum wage statistics」(2026年7月データ抽出、次回更新予定2027年1月)によると、2026年7月1日時点でEU加盟国の最低賃金は月620ユーロ(ブルガリア)から月2,771ユーロ(ルクセンブルク)まで幅があり、マルタは「月1,000ユーロ未満」のグループに含まれる月994ユーロです。マルタの法定最低賃金は、National Minimum Wage National Standard Order(Subsidiary Legislation 452.71)という国内法令に基づいて定められています。このEurostatの数値は、EU加盟国を同じ基準で比較するために月額で統一されたものであり、時給や週給に公式に換算された数字ではない点に注意してください。
年齢別区分
マルタの最低賃金制度には、National Minimum Wage National Standard Orderのもとで年齢による区分が設けられていることが知られています。ただし、この記事の執筆時点でlegislation.mt上のSL452.71のページは2021年1月1日時点のスナップショットとして表示されており、2026年時点の年齢別の具体的な金額をこのページから確認することはできませんでした。また、最低賃金を所管するDIER(雇用産業関係局)の公式サイトは本日アクセスできなかったため、年齢区分ごとの正確な金額はこの記事では示しません。若年層向けの金額を知りたい場合は、必ずDIERまたはJobsplusの最新情報を確認してください。
実手取りまで — 所得税と社会保障拠出
マルタで働く場合、給与から所得税(タックス)と社会保障拠出(ソーシャル・セキュリティ)が控除される仕組みがあります。控除の具体的な税率・拠出率は所得水準や雇用形態によって変わるため、この記事では「最低賃金994ユーロに対する一律の手取り額」を計算して示すことはしません。手取り額の目安を知りたい場合は、必ずマルタの税務当局(CFR)やJobsplusが提供する公式情報、または雇用契約を結ぶ雇用主から具体的な数字を確認してください。
低熟練職種の実際の時給帯
飲食店のホールスタッフや小売店のレジ係といった低熟練職種の実際の時給帯について、この記事の執筆時点で信頼できる公式の時給データは確認できませんでした。DIERのサイトが本日開けなかったこと、legislation.mtのSL452.71ページが2021年時点のスナップショットであることから、具体的な時給の数字を挙げることは避けます。求人ごとの時給は、応募先の雇用主に直接確認するのが確実です。90日を超える学生ビザでのアルバイトの条件についてはマルタ留学中のアルバイトの記事にまとめています。

最低賃金で暮らせるか
最低賃金だけで生活できるかどうかを考える上で、固定費として大きいのが家賃です。Numbeoのユーザー報告データ(2026年9月20日取得)によると、スリーマの都心1ベッドルームアパートの家賃は月額1,564ユーロで、これだけで月994ユーロの最低賃金を上回ります。つまり、最低賃金の収入だけで都心の1ベッドルームを一人で借りるのは現実的ではなく、シェアハウスや家賃の低いエリアを選ぶ、あるいは世帯として複数の収入を合わせるといった工夫が前提になる水準だと分かります。交通費については、マルタの路線バス(Tallinja)の冬季運賃は1回2.00ユーロ(2時間有効、2025年10月19日〜2026年6月13日、Malta Public Transport公式情報より)で、通勤に毎日利用すると月あたりの負担も無視できません。マルタの生活費全体の内訳はマルタの生活費ガイド、物価の感覚はマルタの物価ガイドで詳しく扱っています。
EU内での位置
Eurostatのデータでは、EU加盟国は大きく「月1,000ユーロ未満」「月1,000〜1,999ユーロ」「月2,000ユーロ以上」の3グループに分かれ、マルタはエストニア・チェコ・スロバキア・ハンガリー・ルーマニア・ラトビア・ブルガリアとともに最も低いグループに含まれています。さらに、2016年7月から2026年7月にかけての最低賃金の年平均伸び率を見ると、マルタは年+3.2%とEU加盟国の中でもフランス(+2.4%)に次いで低い部類に入ります。伸び率が最も高かったのはリトアニア(+11.7%)、ルーマニア(+11.6%)、ブルガリア(+11.2%)で、マルタの伸びはこれらの国と比べるとかなり緩やかです。物価上昇のペースによっては、最低賃金の実質的な購買力が伸び悩んでいる可能性がある点は、留学・長期滞在を計画する上で知っておく価値があります。
最低賃金の仕事を検討する前に、次の点は必ず確認しておきたいところです。
- 求人の時給・月給が、応募先企業から書面で明示されているか。
- 住居費が収入に対してどのくらいの割合になるか、契約前に試算したか。
- 学生ビザでの就労なら週20時間という上限を超えていないか。
- 所得税・社会保障の控除後の金額を雇用主に確認したか。
ワーホリ勢の現実
ワーキングホリデーで来る人が実際に就く仕事は、飲食・小売・観光関連など、最低賃金に近い水準からスタートするケースが多いと考えられます。マルタのワーキングホリデー制度そのものについてはマルタとフィリピン留学を費用・環境で比較した記事や、就労ビザ(Single Permit)を使った正規雇用についてはマルタ就労ビザの記事で扱っています。「この収入で本当にマルタで生活が成り立つのか」という感覚は、実際に暮らしてみないと分からない部分も大きいです。マルタで3年暮らし、IT関連の仕事をしているエマ(Instagram @jecrs687)に、生活費の実感だけでも聞いてみるのも一つの方法です。
主な出典
- Eurostat「Minimum wage statistics」(2026年7月データ)
- legislation.mt「National Minimum Wage National Standard Order」(SL 452.71)
- Malta Public Transport「Tickets and Fares」
- Numbeo「Cost of Living Comparison」(スリーマの家賃データ)
- ECB(欧州中央銀行)ユーロ参考為替レート(JPY)
最終確認: 2026-09-20
よくある質問
マルタの最低賃金は月いくらですか?
Eurostatによると、2026年7月1日時点でマルタの法定最低賃金は月994ユーロです。これはEU加盟国を比較するための月額ベースの統一指標です。
最低時給はいくらですか?
マルタの最低賃金は月額で法定されており、公式に時給換算された数字は確認できませんでした。DIER(雇用産業関係局)など所管機関の最新情報を直接確認してください。
手取りはいくらになりますか?
所得税と社会保障拠出が控除されますが、具体的な税率・拠出率は所得水準や雇用形態によって変わるため、この記事では一律の手取り額を示していません。雇用主または税務当局の公式情報で確認してください。
最低賃金で暮らせますか?
スリーマの都心1ベッドルームの家賃(Numbeoデータで月1,564ユーロ)は最低賃金994ユーロを上回るため、最低賃金だけで都心に一人で住むのは現実的ではありません。シェアハウスや家賃の低いエリアを選ぶなどの工夫が前提になります。
平均賃金はどれくらいですか?
この記事は最低賃金に焦点を当てており、職種別の平均賃金の統計はこの記事では扱っていません。IT関連職の給与水準については別記事で詳しく扱う予定です。
最低賃金は毎年上がりますか?
Eurostatのデータでは、2016年7月から2026年7月にかけてのマルタの最低賃金の年平均伸び率は+3.2%で、EU加盟国の中でも低い部類に入ります(最も伸び率が高いリトアニアは+11.7%)。上がってはいますが、伸び幅は他のEU諸国と比べて緩やかです。
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写真(トップ): Martin Fisch / Wikimedia Commons · CC BY 2.0



