「マルタ留学って興味あるけど、マルタの英語は訛ってるんじゃないの?」「そもそも英語が公用語じゃない国で英語が通じるの?」——マルタ留学を検討し始めた人が最初にぶつかる不安がこれです。結論から言うと、マルタでは英語は生活のあらゆる場面で問題なく通じますが、独特のアクセントや語彙が存在するのも事実です。この記事では、公的な出典をもとに「マルタの英語は本当に訛っているのか」「先生の発音は自分に移るのか」「試験対策に不利にならないか」を正直にまとめます。
マルタは英語が公用語のひとつで、学校・バス・病院・役所どこでも英語が通じます。「マルタ英語」という独自の変種は存在し、語末の子音がやや不明瞭になるなど英国式英語とは違う癖がありますが、短期留学(数週間〜数ヶ月)でその癖が身につく可能性は低いとされています。英語を教える先生はマルタの法律(2015年法令第221号)にもとづくライセンスを持つ必要があり、教室自体は各国からの生徒が混ざる多国籍環境です。試験対策で明確に不利になるという公的データはありません。
マルタで英語が公用語である理由
マルタには公用語が3つあり、マルタ語・マルタ語手話・英語がそれにあたります(Wikipedia「Languages of Malta」)。イギリスの植民地だった歴史から英語教育が制度として根づき、学校教育でも英語とマルタ語の両方が使われています。同ページが引用するマルタ国家統計局(NSO)の2022年調査では、マルタの人口の96%が英語について少なくとも基礎的な理解を持つとされています。つまり「英語が通じるかどうか」という心配自体は、マルタに関しては基本的に不要です。

実際にどこで英語が通じるか
「公用語だから通じるはず」と言われても、生活の場面ごとに具体的にイメージできないと不安は消えません。以下は語学学校の授業以外で英語がどの程度通じるかの目安です。
| 場面 | 英語で通じるか | メモ |
|---|---|---|
| 語学学校の授業 | ◎ | 授業は基本的にすべて英語で進行 |
| スーパー・カフェ・レストラン | ◎ | スタッフはほぼ全員英語対応可能 |
| バス(Tallinja) | ○ | 運転手との会話は英語で問題ないが、車内アナウンスがない路線もある |
| 病院・薬局 | ○ | 医師・薬剤師は英語対応が前提。詳細は健康・医療のガイドも参照 |
| 役所・郵便局 | ○ | 公的窓口は英語対応が基本だが、書類はマルタ語併記のことも |
役所や書類まわりの英語対応については個々の窓口で差があるため、心配な用件がある人は渡航前にエマにどんな雰囲気か聞いておくと具体的なイメージがつかめます。
マルタ式英語の特徴(アクセント・語彙・コードスイッチ)
マルタで話される英語は「マルタ英語(Maltese English)」と呼ばれる独自の変種として言語学的に記述されています。Wikipedia「Maltese English」によれば、マルタ英語はイギリス英語の権威ある方言に近い一方で、発音(音韻)と文法の一部で異なる特徴を持つとされています。具体的には、語末の子音がやや不明瞭・無声化しやすい傾向(例として”mug”が[mʌk]に近い音になる)や、Rの発音の癖などが報告されています。日常会話ではマルタ語と英語を混ぜる「マルテングリッシュ(Maltenglish)」というコードスイッチも一般的です。
これは「マルタ英語は間違った英語」という意味ではなく、シンガポール英語やインド英語などと同じように、独自の歴史と言語接触から生まれた一つの英語variety(変種)だということです。

先生もマルタ式で話す?ライセンス基準が定めるもの
マルタはEU加盟国の中で唯一、英語教師の資格を法律で規定している国です。ELT Councilによると、2015年法令第221号(Legal Notice 221 of 2015)にもとづき、すべてのELT教師は法律が定める最低要件を満たしてELT Teaching Permit(教員許可証)を取得しなければなりません。現在マルタ・ゴゾ島には31校の認可語学学校があり、認可校である以上、講師はこの許可制度の対象です。
ELT Council/NSOの2025年統計によれば、2025年に認可校で働く教師・アカデミックスタッフは712人で、最も多い年齢層は18〜24歳(24.4%)、女性教師の割合は67.7%でした。ただし教師の出身国籍別の内訳や「ネイティブスピーカーの割合」は同統計で公表されていないため、この記事では推測の数字は出しません。学校ごとに講師の採用方針は異なるので、気になる場合は個別の学校に直接確認するのが確実です。
自分の発音はマルタ式になる?——短期留学で実際に起きること
数週間から数ヶ月程度の短期留学で、自分の発音がマルタ式に変わってしまうことを心配する人がいますが、その可能性は高くありません。理由は2つあります。1つ目は、上記の統計が示す通り、教室には特定の1カ国からではなく多国籍の生徒が集まること(2025年はイタリア23.0%、ドイツ10.6%、フランス10.4%が上位で、生徒全体の71.8%がEU圏出身)。2つ目は、日常生活で接する相手(店員・バス運転手・ホストファミリーなど)の英語もまた、それぞれ個人差の大きい英語であることです。「マルタ英語のアクセントがうつる」というより、「多国籍な環境で使える実践英語に慣れる」というのが短期留学で実際に起きることに近いです。
試験(IELTSなど)対策に不利か
IELTSやTOEFLなどの国際試験対策という観点では、マルタが不利だと裏付ける公的データは見当たりません。試験のリスニングパートは基本的にイギリス英語・アメリカ英語・オーストラリア英語など標準的な音源が使われるため、授業自体は標準的な英語で行われます。気になる場合は、志望校が試験対策コース(IELTS対策など)を用意しているか、講師が試験対策の指導経験を持つかを申込み前に確認するのが実践的な対策です。
アクセントが心配なとき学校に聞く3つのこと
- クラスの国籍構成:自分の行きたい時期・コースにどんな国籍の生徒が多いか
- 講師の指導言語:試験対策コースを担当する講師の実績や使用教材
- リスニング教材の種類:授業で使う音源がイギリス英語中心かどうか
この3つはパンフレットに載っていないことが多いため、問い合わせや無料カウンセリングの場で直接質問するのがおすすめです。費用面から学校を比較したい人はマルタの語学学校比較記事、日本人の少なさを重視したい人は語学学校の日本人比率まとめもあわせて確認してみてください。
それでもマルタを選ぶ価値がある人・ない人
「英語のアクセントを一切気にせず、教科書通りのイギリス英語だけを浴び続けたい」という人には、マルタより英語圏の内陸部を勧める記事も存在します。一方で、「多国籍な環境で物おじせず話す度胸をつけたい」「ヨーロッパ旅行を兼ねて費用を抑えたい」「まずは英語に慣れることを優先したい」という人にとって、アクセントの違いは大きなデメリットにはなりません。費用面のメリットはマルタ留学の費用まとめで、正直な弱点はマルタ留学のデメリット記事で詳しく紹介しています。全体の流れをまだ把握できていない人は、まずマルタ留学の完全ガイドから読み進めるとイメージがつかみやすいです。
主な出典
- Wikipedia「Languages of Malta」(マルタの公用語、NSO 2022年調査の引用)
- Wikipedia「Maltese English」(マルタ英語の言語的特徴)
- ELT Council公式サイト(教師ライセンス制度、法令第221号)
- ELT Council/NSO「2025年ELT統計」PDF(生徒・教師の国籍・年齢データ)
最終確認: 2026年9月21日
よくある質問
マルタの英語は訛ってるって本当ですか?
「マルタ英語」という独自の変種は言語学的に確認されています。語末の子音がやや不明瞭になるなど英国式英語と異なる特徴がありますが、間違った英語というわけではなく、独自の歴史を持つ英語のバリエーションの一つです。
マルタで英語は通じますか?
通じます。英語はマルタ語と並ぶ公用語で、NSOの2022年調査では人口の96%が少なくとも基礎的な英語理解を持つとされています。学校・店・バス・病院どこでも英語で困ることはほとんどありません。
発音は悪くなりますか?
数週間〜数ヶ月の短期留学でマルタ式のアクセントが定着する可能性は高くありません。教室も生活圏も多国籍な英語話者が混ざる環境のため、特定のアクセントよりも実践的なコミュニケーション力が身につきやすい環境です。
先生はマルタ人ですか?
学校によって異なります。マルタでは法令第221号にもとづき、すべてのELT教師がライセンス(ELT Teaching Permit)を取得する必要がありますが、教師の国籍別の公式データは公表されていません。気になる場合は個々の学校に直接確認してください。
マルタの英語はイギリス英語ですか?
マルタ英語はイギリス英語の権威ある方言に近いとされていますが、発音や文法の一部で異なる独自の特徴を持つ変種です。教材や試験対策の音源は標準的なイギリス英語などが使われるのが一般的です。
IELTSなどの試験対策に不利ですか?
マルタでの留学が試験対策に不利だと示す公的データはありません。試験対策コースの有無や講師の実績は学校ごとに差があるため、申込み前に直接確認することをおすすめします。
現地の英語を、耳で確かめてみる
マルタの英語がどんな響きなのかは、文章で読むより実際に耳で聞いたほうが早いです。マルタ在住3年目のエマ(Emma)はInstagramのストーリーで日常のマルタの様子を毎日発信していて、現地の会話の雰囲気も垣間見えます。自分が通う予定の学校の講師がどんな話し方をしそうか気になったら、エマにDMで聞いてみるのも一つの方法です。
写真(トップ): Frank Vincentz / Wikimedia Commons · CC BY-SA 3.0



